2024年10月1日、加賀市の山代温泉観光協会主催の「ロスカボスが実践する観光地経営セミナー ~高付加価値旅行者誘客と観光レジリエンスについて~」が開催されました。これは10月1日に開設した「金沢大学 加賀サテライト」の最初の加賀市との連携イベントとして、先端観光科学研究所が後援、堤敦朗所長が講演をファシリテートしました。
この日は山代温泉「ゆのくに天祥」にて、ロスカボス観光局最高経営責任者 ロドリゴ・エスポンダ氏を講師に招き、加賀市のみならず石川県内の自治体関係者や観光関連業に携わる参加者約53名が今後の高付加価値なインバウンド観光地域づくりへの参考になる講演を聴講しました。
講演会場
ロスカボスはメキシコの観光地で、カリフォルニア半島の南端に位置する高級リゾート地です。カボとはスペイン語で岬のことで、ロスカボスとはたくさんの岬がある街、という意味です。その名の通り岬ごとに街があるリゾート地で、加賀温泉郷と同じように観光街の集合体、という意味では加賀市と似ていることもあり、現在ロスカボス観光局日本支部マネージャーで元加賀市観光交流課職員の志田朝美氏のつながりで今回の講演が開催されました。
ロスカボスのリゾート開発は1974年にメキシコ政府主導で開始され、景観保持や建築規制を徹底し、自然豊かな高級リゾート地として発展してきました。2016年にエスポンダ氏がロスカボス観光局最高経営責任者に就任以来、特にブランディングの整備に注力されました。地域全体のミッション、ビジョン、バリューを明確に設定し、地域の観光業者やデジタル開発に携わる1000を超える業者と共有し一貫したブランド開発を実行してきた実績が奏功しています。
講演するエスポンダ氏
今年5か年計画を制定され、常に事業計画を見直し新たな課題に向き合う姿勢は参加者との質疑応答のやりとりのなかでも関心を集めました。また、加賀温泉郷については長い歴史と地域ならではの食文化の魅力を携えた独特の温泉文化の魅力を語られました。
講演の最後に堤所長がロスカボスについて産学官の連携がうまくいっている事例だと結び、金沢大学融合学域観光デザイン学類との連携や加賀市との交流などが今後期待されます。
講演をまとめる堤所長(左)と北口石川県国際観光課長(中央)、エスポンダ氏(右)